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誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

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2014年6月28日 (土)
御岳山の暮らし・歴史・文化を知る山歩きツアー 御師料理編(青梅市)

日時
2014年6月28日(土)9:20〜14:00
教室
御岳山
所在地
東京都青梅市御岳山 マップ
定員
15名 / 締切 6/13(金)
授業料
無料(但し、御師料理代として2000円は実費)
※当日回収しますので、おつりのないようにご持参下さい
※現地までの交通費などは含まれません
(バスやケーブルカーは、パスモ・スイカが便利です。可能であれば、事前にチャージの上、お越し下さい)
協力
御岳ビジターセンター
先生
片柳茂生
馬場晃一
授業コーディネーター
伊藤恵梨

【授業レポート】


2014/06/28 御岳山ツアー 授業レポート

授業の1週間前から、毎日、天気予報を眺めては、雨マークがつかないことを願うのが日課に。梅雨なので仕方がないですが、それまで曇りだった予報も前日には「曇りのち雨」になってしまいました。せめて授業が終わるまで曇りのままで、との願いも儚く、当日起きてみると結構強い雨。
みなさん来て下さるかな...と心配になりながら、少し早めに集合場所の「御嶽駅」に到着しました。受付の準備を始めていると、「にしがわ大学ですか?」と声をかけて下さる方がちらほら。電車の到着ごとに、続々と参加者のみなさんが集まり、欠席は0。ホッとしました。

さて、ここらか授業スタート。スタッフも含め総勢20名ほどで、混雑したバスに乗り込みます。雨と言えでも、人気の登山スポットだけあり、バスはすし詰め状態でした。

続いて、ケーブルカーに乗って御岳山を目指します。車窓を眺めたり、自己紹介などで話を弾ませる人も。乗車3分ほど、ケーブルカーの中間地点で、スカイツリーの高さを抜きます。

6分ほど乗車し、終点の「御岳山駅」に到着。駅舎を出ると、片柳先生、馬場先生が出迎えてくれました。先生の紹介をして、山歩きツアーがはじまりました。 「恵みの雨になってしまいましたが...」と馬場先生。今回のテーマのひとつである、御岳山の「食」には雨も欠かせないことを思い出しました。

先生に続いて、参道を進みます。「今通っているところは昔は道ではなく全て畑でした。いまも道の両脇には、それぞれの家の畑があります」と片柳先生。御岳山では、大根やジャガイモがよく育つそうです。

さらに進むと、参道の左手側の木々に設置された巣箱が見えてきました。これは鳥用ではなくムササビ用の巣箱です。

「この前の雪では電線の辺りまで雪が積もりました。どんどん山からなだれてきて、ひどいところは3〜4m積もったため、御岳山は1週間ほど孤立してしまった」と、2月にあった大雪の被害についても説明いただきました。

少し予定を変更し、かつて小学校の分校があった場所にある、御岳ビジターセンターに。少し休憩して、館内の展示物をそれぞれ見学した後、改めて、みんなで自己紹介をしました。その後、御岳山に祀られている神様のひとつで「おいぬ様」と親しまれている、「オオカミ信仰」にまつわる「狼の頭骨」を見せていただきました。かつては「狐憑き」の御祓いなどの際、煎じて飲ませたことから少し減っているそうです。そんな御岳山への信仰は、埼玉や筑波、伊豆の伊東にまで広がっており、現在まで続いています。

ビジターセンターを後にして、散策を再開します。ビジターセンターを出ると御師住宅が見えてきます。入り口には大きな注連縄が張られ、講碑が建っていることから神社と間違われる家も多いようです。

道を少し下ると、右手に茅葺きの屋根が見えてきました。東京都の有形文化財に指定されている「馬場家御師住宅」です。実はこちら、馬場先生のご自宅なのです。茅葺きの葺き方をよく見ると、虎の模様に似ていることから「虎葺き」と言います。「屋根裏にはムササビも住んでいます。雨漏りはしますが、宿坊なので泊まることもできます」と馬場先生。

御師住宅を左右に眺めながら参道を進むと、左手に診療所があります。お医者さんは住んでいませんが、週に2回、麓の病院から先生がやってきます。診療時間はケーブルカーの時刻に合わせているので、変わった時間帯です。

さらに進むと少し急な坂が出てきます。その坂沿いにそびえるのが、国の天然記念物に指定されている「神代ケヤキ」。「私の子どもの時で樹齢1000年と言われるので、今は、1050年はいってますね」と片柳先生。補強などもされていますが、御岳山の雪はかなり軽いため、先ほど出た2月の大雪でも被害は被っていません。木の中は空洞で、ムササビの住まいにもなっているそうです。

神代ケヤキの先には、道の両脇に土産物屋や食事処が並ぶ御岳山のメインストリート「御岳山商店街」が広がります。お土産は授業が終わってからのお楽しみにして、どんどん進みます。

かつてお寺があった「鳥居前広場」に到着。広場の脇を見ると、小屋があります。この小屋は椀蔵と言って、御岳山の冠婚葬祭で使う道具が全て入っているそうです。冠婚葬祭も山の住民同士で協力して取り仕切っていることが伝わる一幕でした。

さらに、この広場にはあまり知られていない秘宝があります。手水舎の後ろにある石碑は、日本画家の河合玉堂によって書かれたもので、戦前に綾広の滝から引いた「綾広水道」を記念した碑です。

手水の方法を馬場先生に実践を交えて教えてもらい、手水をした後、326段の階段を上ります。
階段の両脇には講碑が林立しています。講碑には、授業のはじめにも教わった、御岳山を信仰する埼玉から伊豆まで関東一円の地域名が刻まれています。

ようやく武蔵御嶽神社に到着。休憩も兼ね、それぞれ参拝しました。天気がよければ眺めは素晴らしいですが、この日は深い霧がかかっていて、それはそれで神秘的でした。

本殿の裏側にまわり、オオカミ信仰の「おいぬ様」を祀った大口真神社(おおくちまがみしゃ)を見学。その少し奥には、毎年1月3日に開催される太占(ふとまに)神事の祭場があります。関係者以外は立ち入り禁止なので、ロープの外から眺めます。太占とは、牡鹿の肩骨を焼いて、ひびの入り方で、その年の農作物の出来や天候を占うものです。一から十の数字で表された結果の一覧は、100円で購入することもできます。

再び本殿の前に戻り、「護符」について、実物を見ながら説明を受けました。御師が代々担当する地域の講の人たちに毎年配布しているもので、「おいぬ様」のイラストが印象的です。昔は玄関が大きい家も多かったですが、最近は、家のつくりも変わってきたので、少し小さめでシールにした護符も販売しるそうです。シール式の護符は家以外に付ける人もいるそうで、パソコンや車に付けようと購入する参加者さんもいました。

ここで山歩きの行程は終了。今回の目玉である御師料理を食べるため、階段を下り、来た道を御師集落まで戻ります。御岳山には約30軒の御師が営む宿坊があり、そこでは、御岳山で採れた野菜や山菜を使った御師がつくる「御師料理」が食べられます。今回は、片柳先生の宿坊「藤本荘」で御師料理をいただきます。「神道と同じように教典などはなく、可能性は無限です。皆さんに喜んでいただけるよう料理も時代に合わせかわっていきます」と馬場先生。

この日のメニューは、口取りにはじまり、いもがらの和え物、刺身こんにゃく、鮎の塩焼き、山菜の天ぷらなど、山の味覚を思う存分味わうことができました。 食事が終わり、記念撮影をして解散。雨は降り続いていましたが、美味しい御師料理を食べたせいか、みなさん笑顔。「また来たい」「雨の御岳山に来ることはあまりないので良かった」「よく来ているけど、初めて知ったことも多かった」と嬉しい言葉をかけて帰ってくれる参加者さんも。
先生、参加者のみなさんありがとうございました!
今回、2013年に実施した同授業の第2弾として開催しましたが、第3弾も開催できるよう計画中です。お楽しみに。

(伊藤恵梨)

■テーマ
御岳山の歴史、文化、暮らし、食を五感で味わおう

■対象者
・御岳山の歴史や文化、暮らしに興味がある方
・御岳山の農業や食文化に興味がある方
・にしがわ(多摩地域)の歴史や文化に興味がある方
・ビジネスマンとは違った仕事や暮らしに興味がある方
・地域のコミュニティや集落に興味がある方

■授業について
御岳山に行ったことはありますか?子どもの頃からにしがわに住んでいる人は、遠足などで親しみがある人も多いのではないでしょうか。最近は、バスやケーブルカーも整備され、登山をしたことがない人でも気軽に遊びに行ける山として、観光スポットとしても注目を集めています。
今回の授業は、そんな御岳山全体が教室です。なかでも山上の暮らしや歴史・文化に注目します。山上には江戸時代のはじめにできた17代以上続く御師集落があり、老若男女150名ほどが暮らす小さなコミュニティがあります。先生に御岳山の御師集落で生まれ育ち、929mの山頂にそびえる武蔵御嶽神社の御師として働く片柳さんと馬場さんを迎え、山歩きをしながら、江戸時代に山上に集落ができた理由や山上での暮らし、にしがわと御岳山の深いつながりを学びます。ツアーの最後には、御岳山の歴史や食文化が結集した御師料理を宿坊でいただきます。御岳山に行ったことがある人も、はじめての人もお待ちしています。

※昨年の同ツアーの様子:http://www.tokyo-nishigawa.net/class/2013/07/2013-07-01.html


■授業の流れ
09:20
JR青梅線【御嶽】駅前に集合・受付(受付終了09:36)
※08:57【青梅】駅発→09:18【御嶽】駅着(この電車が便利です)
09:30
東京にしがわ大学の説明と授業の説明、スタッフの紹介
バス停に移動
09:40
バスで御岳登山鉄道【滝本】駅へ移動
10:00
御岳登山鉄道で【御岳山】駅へ移動
10:10
御岳山到着
先生の紹介と参加者の自己紹介
10:30
御岳山の山歩きスタート
先生と一緒に山歩きをしながら御岳山に集落ができた歴史、御師と講、御岳山の暮らしなどを学ぶ
じっくり見学スポット:御岳山の畑、馬場御師家住宅、御師集落、神代ケヤキ、商店街、鳥居前広場、階段の講碑
11:50
武蔵御嶽神社到着
神社由緒やおいぬさま、太占についての説明を受けた後、参拝
自由時間15分
12:15
移動
12:30
宿坊で御師料理を楽しむ
御師料理、御岳山の食についての紹介
14:00
授業終了・解散
※ご自身でお帰りいただきます
※終了後は、各自で自由に山の散策などを楽しんで下さい

■持ち物
動きやすい服装、歩きやすい靴、飲み物、筆記用具、タオル、帽子、日焼け止めなど

■定員・締切
15人(抽選)・ 締切 6/13(金)

■注意事項
※雨天時は少し予定を変更して開催致します
※電車の本数が少ないので時間に余裕を持ってお越しください。受付終了時刻を過ぎた場合は、各自でお越しいただきます(ただし、御嶽駅からバス、ケーブルカーで30分以上かかりますので、授業に間に合わない可能性もあります)
※御嶽駅から御岳山までのバスやケーブルカーは一般の方に混じっての利用となります
※当日は屋外での授業となりますので、暑さ対策などを各自でしっかりしてきて下さい
※アクセスが悪い場所での授業になりますので、体調が悪くなった場合は早めにお知らせください

※学生登録してからお申し込みください。
※最近HotmailやGmail等のフリーメールからお申込みいただいた方で参加のお知らせをお送りすると「迷惑メール」フォルダに自動的に入ってしまい、気づかずにご参加いただけなかった方が増えています。本授業をフリーのメールアドレスからお申し込みいただいた方はご注意ください。

■その他
※キャンセルについて
今回の授業は昼食を事前に準備していますので、直前のキャンセルはご遠慮いただきますようご協力をお願い致します。万が一、ご都合が悪くなった場合は必ずご連絡を下さい。

先生プロフィール:
片柳 茂生(武蔵御嶽神社 御師、御岳ビジターセンター解説員)

1957年御岳山の御師の長男として生まれる。
1979年御岳ビジターセンターの職員となり、現在に至る。
御岳ビジターセンターの解説員をしながら、神主の一人として武蔵御嶽神社に奉仕している。
朝日カルチャーセンターの篳篥講師。

先生プロフィール:
馬場 晃一(武蔵御嶽神社 御師、御岳ビジターセンター解説員)

1981年御岳山の御師の一家に生まれる。
2012年御岳ビジターセンターの職員となり、現在に至る。
解説員、及びに神主の勉強に日々励む。

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