だんごとまんじゅうを食べてご利益にあやかる......。そんな花より団子な祭りが八王子の神社で代々続いています。
浅間神社のだんご祭り
- 浅間神社は富士山信仰につながりがあるため、境内には登りごたえのある富士塚もあります。富士塚に登るのも今回の楽しみのひとつでした。
- 毎年7月31日のお昼ごろから露店が並びはじめ、夕刻から湯の花の神事が執り行われます。
八王子駅から南に向かって20分ほど歩いた場所にある富士森公園。その一角にそびえる浅間神社がだんご祭りの舞台です。バスもたくさん走っていますが、お散歩がてらゆっくり歩いて向かいました。
到着すると境内にはいくつかの露店が並んでいて、参拝客もちらほら。お目当ての厄除けだんごの露店も出ています。お参りをして、さっそくみたらし団子とあん団子を頬張ります。
浅間神社の神様・木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の神話に由来して行われる、大釜に湯を立てて振る舞う湯の花の神事の際に、お供えした米から団子を作ったことから「だんご祭り」と呼ばれるようになり、近隣の和菓子屋などによる厄除けだんごの露店が並ぶようになったそうです。
この団子を食べると暑気払いや厄除けになると伝えられ、夏の暑い時期でも結構な本数が売れていきました。家族連れも多く、地元では夏の風物詩になっているようです。
諏方神社のまんじゅう祭り
- 毎年8月26日・27日に開催され、市指定無形民俗文化財の四谷龍頭の舞も見ものです。
まんじゅうまつりの舞台は、八王子駅からバスに揺られて20分ほどの場所にある諏方神社です。
当日は生憎の雨でしたが、参道にはずらりと露店が並び、参拝客で大賑わいです。厄除まんじゅうの露店も数軒ありました。こちらでもまずはお参りをして、まんじゅうをいただきます。少しかじるとお酒の香りが広がる、懐かしい味わいの酒まんじゅうです。
もともと諏方神社の周辺は畑が多く、まんじゅうを作ってご近所さんに配ったり来客をもてなしたりする習慣があり、祭りにはその文化が反映されたようです。特に酒まんじゅうは、暑い時期の保存食として考え出され、暑さの厳しい祭りの時期のおもてなしにぴったりだったようです。これを食べれば病気にかからないという言い伝えもあり、次々と売れていきます。
- まんじゅうの表面には神社の御神紋の焼印も。こちらでも近隣の和菓子屋が露店を出す。まんじゅうの他にも厄除けうちわが売られていました。
まだまだあった、にしがわの花より団子?なお祭り
今回は足を運べませんでしたが、だんごとまんじゅうに留まらず、にしがわには特定の食べ物を対象にした祭りがたくさんあります。ショウガ(八王子市、あきる野市)、栗(府中市)、すもも(府中市)、びわ(瑞穂町)などなど......。
美味しいものを食べながらご利益にあやかれる祭りに参加してみると、その土地の風習と出会えるかもしれません。
参考文献: 『One Twoえいと』「え」 の号 えいと舎
2017年01月20日|八王子市
記者プロフィール
伊藤 恵梨
三重県の神道の家系に生まれる。大学入学時に上京し、御岳山と出会う。東京の山中で御師集落が営まれていることに感動して取材・研究活動を開始。七福神めぐり、御朱印集めなど、何かを収集?しながら地域と出会うことにも関心を寄せる。