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屋台で繋がる

すごく寒い日、国立の街を3人で歩いていたら屋台のたいやき屋さんを見つけたよ! たいやき好きな私達はやっぱり列へ。人気の秘密が気になってしまいました。

インドへ


行列の先に大人気の屋台があります。

「たいやきやゆい」の由井尚貴さんことゆいさんは、国立市内で週に4回、屋台を引いています。一尾一尾たいやきを丁寧に焼いているゆいさんとお話しをしているだけで、不思議とあたたかい気持ちになります。

ゆいさんは19歳の頃、海外へ行く知人が多かったり、映画「セブン・イヤーズ・インチベット」を観てダライラマに会ってみたいと思ったり、タイミングだったり、いろいろなきっかけがあり、インドへ向かったと言います。

インドには約3年半暮らしていました。その間にデリーのアシュラム(修業道場)にも滞在することになります。アシュラム!! 私も滞在していた経験がありとても興味が湧いてしまいました。 アシュラムではヒンディー語を勉強しながらチャルカを習っていたと言います。仏塔建設のお手伝いもしていたとか。

たいやきを待っている間、ついついお話ししたくなります。

その後もインド国内を転々とし、沢山の出会いがありました。暮らすことで見つけることや出合うこと、馴染んでいくことが沢山あり、言葉が分かるようになると理解や伝え合うことが嬉しくなっていったと言います。

馴染んでいくこと、この感覚は私もインドで体感しました。テレビやインターネットの無い日常で、陽が昇ると起きて、日が暮れると寝る。風邪気味ならハーブを摘みに行きカレーに入れる。彼らの物事へのシンプルな考え方は、今まで自分の中にあった当たり前が当たり前ではなくなり、心が柔軟になっていく瞬間でした。

こうしたインドでの経験と帰国後日本での新しい出会いや出来事がたいやきやゆいさんの根本にあるようです。

from ミキティ

開業


こだわりのたいやき。

そんなゆいさんがどうしてたいやき屋を始めたのかを聞いてみました。

料理を始めるようになったのはインドで野菜の美味しさを知ってから。四国で有機野菜について学んだりもして、7年前まではレストランで料理人として働いていたそうです。 でも、なかなかお客さんの顔が見ることが出来ない厨房。そんな環境での仕事に物足りなさを感じ、実際にお客さんの顔が見られて、直接触れ合える仕事がしたいと思ったのが、たいやき屋を始めたきっかけとなったそうです。

たいやき作りはすべて独学。一丁焼きのたいやきのお店を何軒も巡ったり、さまざまな和菓子屋で餡作りのヒントを得ながら、何度も何度も試作を繰り返したそうです。 ゆいさんはたいやきの材料にもこだわっていて、なるべく国産のものを使用するようにしているとのこと。小麦粉と砂糖は北海道産、小豆は岩手県産なのだそうですが、実際に製粉所などへ行き、顔の見える生産者の方から仕入れるようにしていると言っていました。 外はパリッとして中はもちっとした生地に、控えめな甘さの餡がたっぷり入ったたいやき。ゆいさんの優しくてあたたかい人柄が伝わってくる味です。

from キヨちゃん

つぶらなひとみ


ここにいます。

あつあつで美味しいたいやきが入っていた茶色の紙袋を、ふと、見ると、とても可愛らしい「たいやき」が、ちょこんといました。まんまるの黒い目、ゆらゆら今にも自由に泳いで行ってしまいそうな、ほんわかとした姿かたち。ウロコのひとつが小さいハート形だったりして、いつまで見ていてもほっこり和む「たいやき」です。

とても可愛い「たいやき」に惹かれ、くるくるとリズミカルに一丁焼きを回しているゆいさんに尋ねてみました。屋台を始めて3年目くらいに、DMやたいやきを入れる箱等のデザインを丸山昌崇さんにお願いし、打合せをしていく中で、同じ国立市にアトリエ・フジカワエハガキを開いている藤川孝之さんに、たいやきのイラストを依頼したとのこと。ゆいさんは元々藤川さんの絵の雰囲気が好きだったのと、藤川さんは屋台を始めた頃から買いに来てくれていて、その人柄に触れていたことから、こちらの「たいやき」になったそう。たいやき屋さんにデザイナーさんにイラストを描いた人が同じ街の人。それを聞いた時、国立は、おもちゃ箱のように色々と詰まった楽しい街なんだなぁとも思いました。

さて、この「たいやき」は袋にひとつひとつ手押ししているそうです。そして、普段は左向きの「たいやき」が押されていますが、実は右向きのたいやきも居て、結婚式等のイベントに出店依頼された時に使うとのこと。中国では双魚文は吉祥の象徴のひとつ。まさしくめでたい、「たいやき」ですね。

美味しいたいやきを味わったあとは、袋にふわりと泳いでいる「たいやき」も、ぜひ見てみてください!

from ななさん

屋台で繋がる


そして最後にゆいさんへ、働くとは何か? 聞いてみました。

「私にとって働くとは、繋がる事だと思います。」

たいやきの美味しさももちろんですが、ゆいさんの自然体な考え方や姿勢や笑顔が、人々を惹きつけ繋がりを作ります。そういえば、たいやきの列に並びながらゆいさんや前後のお客さんとのおしゃべりするのも楽しいものです。私がインドにいた頃、屋台の前で「暑すぎて冷蔵庫が壊れたから、今日はホットコーラだよ!」と笑い合った事を思い出します。

たいやきの列は私達の番がきました。

「うーん おいしい!」

2015年04月30日|国立市

記者プロフィール

橋場 美紀(ミキティ) 国立市在住
にわ大甘とう部部員。たいやきとメロンパンが好き。

清水 祥子(キヨちゃん) 小金井市在住
にわ大甘とう部部員。たいやきとモンブランが好き。

桜井 奈々絵(ななさん) 羽村市在住
にわ大甘とう部部員。たいやきとタルトが好き。

保坂 三仁(じん) 写真撮影
にわ大甘とう部二代目部長。たいやきとゆいさんのかき氷が好き。

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