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畑に咲くひまわり 清瀬の農の景色

清瀬に広大なひまわり畑があることを知っていますか?1枚のポスターをきっかけにひまわり畑のことを知って訪れてみたら、そこにはたくさんの思いと秘密が眠っていました。

都内にひまわり畑が出現!


ひまわりフェスティバルがあちらこちらで告知されています。
展望スロープから一面のひまわりを眺めることができます。

それは、1枚のポスターをきっかけに知りました。―「清瀬ひまわりフェスティバル」。

清瀬市の下清戸地区では、広大な農地にひまわりが植えられ、毎年8月には咲き誇る姿を御披露目する「清瀬ひまわりフェスティバル」が開催されているとのことで、早速行ってみました。西武池袋線「清瀬」駅から、バスでおよそ15分位の距離を進むと、どこからともなく溢れる人。普段はあまり人気を感じられない雄大な景色とは対照的な、たくさんの人の波。流れに沿って歩いていくと、目の前にはひまわり畑が出現します。

その日は夏らしからぬ薄雲がかかった天気でしたが、到着するや否や、まぶしいくらいの日が差し始め、猛暑と言ってもいいくらいの気温になりました。暑さと日差しに負けないくらいの輝きを放った黄色の花が眼下に広がります。

会場は約24,000平方メートルの広大な農地で、約100,000本のひまわりが咲き誇っているとのことでした。例えればサッカーコート3面分以上程度の広さ。端から端まで行くには結構な労力の必要な広さです。
そんな広大な畑には、ある程度高さのある簡易な展望スロープが設けられています。展望スロープに上ると、更に遠くまで見渡すことができますが、そこから見渡す景色はとても都内とは思えず、眼下に広がる一面の黄色の波に圧倒されました。

スロープを降りた後は順路に従いながら道を歩きます。一部のひまわり畑は中に入ることができるので、入ってみることに。自分の背丈以上に育っているひまわりたちをかき分け進んでいきます。自然の世界なので、もちろんミツバチや虫もたくさんいます。土や汗にまみれながらヒマワリと一体化すると、思わず子供の頃の夏休みを思い出してしまいました。こんな経験、大人になってからはなかなかできないのではないでしょうか。

ひまわり畑のひみつ


一面に広がるひまわり畑

2008年に始まった、清瀬ひまわりフェスティバルは今年で7回目になるそうです。実はこのひまわり畑は「石井ファーム」さんをはじめとした、個人の農家さんと国の農地であり、普段は小麦を中心とした作物を生産しています。作物収穫後の裏作として、ひまわりを植えているのです。

当初は小麦のみを生産していましたが、下清戸三丁目地区の農家さんから、「ひまわりの花を咲かせてはどうか?」との提案があり、ひまわり畑が誕生したのです。

こうして誕生したひまわり畑、咲き誇る姿を広く様々な方にお披露目しよう、という思いからボランティアや地域づくり団体の協力を得て、現在の「フェスティバル」が始まりました。「フェスティバル」は後に、地元「小寺ファーム」さんの農地や国有地の開放部分も加わり、フェスティバル開始当初の20,000平方メートルから現在の24,000平方メートルまで面積を広げていきます。地域の方の思いが連なり、今のような盛大な形になったのですね。

ひまわり畑は、フェスティバル開催期間中だけイベント会場として開放されるため、期間限定でしかこの場所には入ることができませんが、毎年数万人規模の観光客が都内有数のひまわり畑の美しい姿に期待を持ちながら来場し、景色を楽しんでいるようです。

美しい花を咲かせた後、ひまわりは小麦畑の緑肥として利用されているとのことで、来場者の目を楽しませるだけではなく、農産物への栄養ともなっていて、まるで一人二役のように大活躍をしています。

清瀬の個性、農ある風景。それを愛する人たち


小麦畑をひまわり畑に活用し、多くの観光客を楽しませていますが、清瀬市は、都心から近くにありながら雑木林や農地、そして美しい河川など、豊かな自然環境に恵まれています。また、小麦だけではなく農業がとても盛んであり、都内有数の農産地です。その農地面積は、なんと市の総面積の約2割である約220haを占めているそうです。

市民の方は、この風景をとても大切にしていて、農のある風景を積極的に広めていきたい、大切にしたい、と大切な個性としてあたためています。

その熱い思いを持った、農家と市民ボランティアの皆さんによって「清瀬市農ある風景を守る会」が発足されています。グループでは、清瀬の自然の良さを伝える様々なワークショップやイベント、講演などの取り組みをされています。「清瀬ひまわりフェスティバル」はその一環で行われているイベントなのです。

想いを感じながら景色を眺める


雄大に咲き誇るひまわりには、こういった市民の方々の清瀬を愛する思いが込められているのですね。 単に観光地としてひまわりを見にいくだけではなく、市民の思い、ひまわり畑の背景を知って見に行くと、より、感動も増すかもしれませんね。

2014年度の開催は残念ながら、8月31日(日)にて終了してしまいましたが、このカルタで知った背景を心に温め、ぜひ来年足を運んでみてくださいね。

2014年10月22日|清瀬市

記者プロフィール

永見薫
埼玉県新座市在住。にわ大で西武線活動が発展することを心から願う一人。国立文庫プロジェクトや国立本店等、地域活動に関わりながら街を探検すること、知ることを楽しんでいる。

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