毎日たくさんの人が都心へ働きに出ている東京のにしがわ。そんなにしがわで最近、都心ではなくにしがわに根を下ろし、働いていこうとしている人たちがいるようです。
勤務地はにしがわ
- プロジェクトのひとつ、「クルミド出版」の本棚と理麻さん
今回ご紹介するのは、西国分寺を拠点に活躍する編集者・ライターの石川理麻さん。 実は理麻さんも、もともと都心に通勤していたひとり。勤務していた都心の会社を退職し、2010年からフリーランスとしての仕事をスタートさせました。
実は理麻さん、独立するまで地域との関わりはほとんどなかったのだとか。しかし今では西国分寺を中心に、いくつもの地域プロジェクトで活躍されています。 そんな理麻さんに、今の働き方やにしがわの魅力を教えていただきました。
仕事はひょんな出会いから
理麻さん自身、最初は多摩地域で編集やライターの仕事があるのかどうか、分からなかったと言います。しかしそんな心配とは裏腹に、仕事の依頼はひっきりなしの状態。
「実は、フリーになってから自分で営業したことがほとんどないんです」
前に勤めていた会社の編集部や、取材を通じて出会った人の縁で、次々に仕事をもらうそう。 取材先から知り合いを紹介されて、次の仕事につながることもしばしば。時には知らない人から「◯◯さんから聞いたよ!うちでも仕事を頼めないかな?」と、突然の電話が来て驚くこともあるそうです。「独立したからといって、一人で仕事をしているのではなく。こうして働けるのは、助けてくださる皆さんのおかげです」。
- クルミドコーヒーにて、珈琲を淹れる理麻さん
さらに、この春から新しい仕事も始まりました。その仕事とは、なんと専門学校での授業。就職活動を控えた学生向けに、エントリーシートや履歴書の書き方などを教えているんだとか。 きっかけは、仕事の合間をぬって働いている地域のカフェ「クルミドコーヒー」で、大学生スタッフのエントリーシートを添削したこと。会社員時代の経験を活かした的確なアドバイスが評判となり、学校からの依頼で授業を開くことになったそうなんです。「自分が人に教えるなんて思いもしなかったけど、今は授業の日が楽しくて。授業前夜はずっと生徒のことを考えています」。
カフェでの出会いがこれまでとはまったく違う仕事につながったことは、理麻さんにとっても新しい発見だったと言います。
ひょんな出会いが仕事になる。意外なところで自分の経験が活きる。どこにどんなチャンスがあるかわからない。そんなわくわくドキドキが、地域で働く魅力のひとつなんですね。
住むまちで、自分らしく働く
- お祭りへの出店は、地域の子どもと一緒のときも
- クルミドコーヒーでの出版会議の様子
独立してから、まちの見え方も変わりました。 会社員のとき、家には寝に帰るだけ。西国分寺では一人でした。でも今は、歩けば誰かしらに出会うこのまちを、「自分の生まれた地域というか、昔の田舎みたい」に感じるそう。 悩みと言えば、すっぴんのときに限って知り合いに会ってしまったり、仕事の打ち合わせをデートだと勘違いされたりすることなんだとか(笑)。
にしがわで働くようになってから、編集やライターの仕事がもっと楽しくなったという理麻さん。これからは、どんなことを目指しているんですか?
「実は、夢があるんです。独立を決めたのは、仕事をしながら夢のために努力する時間も作りたかったから。人生は一度きり。好きな歌の詞に『信じられるものひとつあれば遠くまでまだ歩けるはずさ』っていうのがあるんですけど、本当にそうだなって思っています。信じられるものがあればどこまでも頑張っていける。好きなことを仕事にして生きていくのは簡単ではないけれど、これだけは何としてもやり遂げたいという強い思いがあれば、その思いはきっと叶うと信じています。プライベートも仕事も、私らしく素直な気持ちで取り組んでいきたいです」
あなたの住むまちでも
にしがわでの働き方、いかがでしたか? 人の数だけ、まちの数だけ、働き方があるのでしょうね。 住み慣れたまちにも、まだまだ知らないことってたくさんありますよね。 住むまちを、働く場所として見返してみる。すると、案外近くに、新しい発見や出会いがあなたを待っているかもしれませんよ。
2014年06月23日|国分寺市
記者プロフィール
田口友子
1988年生まれ、三鷹市在住。大学院で都市計画を学び、一年間の台湾留学を経て、この春から都内のシンクタンクで働く。吉祥寺の居酒屋さんがお気に入り。