05 授業に参加

トップ > 授業に参加 > 多摩の戦争遺跡を歩く(武蔵村山市・東大和市)

誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

これまでの授業レポート

授業一覧

2015年9月26日 (土)
多摩の戦争遺跡を歩く(武蔵村山市・東大和市)

日時
2015年9月26日(土)12:00〜16:00
教室
武蔵村山市・東大和市
所在地
西武拝島線 武蔵砂川駅
定員
10名(先着)
授業料
無料(食事代実費)
先生
池谷 タカ
協力
うどん 翔
授業コーディネーター
松井 信雄

■授業レポート

参加予定者11名のところキャンセル3名で、当日出席8とコーディネーター1名、合計9名での授業開催となりました。参加者の年齢層も若干高めで、今後戦争を題材とする授業の参考にしたいと思いました。朝方まで降っていた雨も上がり、ときおり太陽が顔を出す曇り空、街歩きにはちょうど良い天候となりました。集合場所は西武拝島線の武蔵砂川駅、挨拶とコース説明そして資料配布を行った後、徒歩で玉川上水の緑道方面に向かいます。上水沿いの木々の下を歩いている時に、自己紹介をしていないことに気づき、木陰で急遽自己紹介をしました(汗)。大きな屋敷林を遠目で見ながら大政奉還図で有名な画家邨田丹陵の居宅前を通り、東航通りへ。「東航」とは、もちろん本日の教材である東京陸軍航空学校のことです。 2015-09-03-r1.JPG

ふたつの碑
2015-09-03-r2.JPG 2015-09-03-r3.JPG 少し進むと「東航正門跡」と刻まれた碑があります。廻りは住宅が建ち並んでいて、20万坪の陸軍施設の入り口であった面影は全くありません。碑の横に建てられた説明書を生徒さんたちが目を通している姿は、コーディネーターとしてなんとなく嬉しい気持ちになりました。さら歩くと、「揺籃(ようらん)之地」の碑、揺籃とはゆりかごのことで、物事の発展を遂げた地などの意味もあるようです。当然ですが、まわりには「揺籃」を思わせるものは何もありません。こちらもみなさん、碑に刻まれた文字や説明書きを一生懸命読んでいました。

郷土料理の店「翔」
2015-09-03-r4.jpg 2015-09-03-r9.JPG 住宅街の中を進むと、道路から少し入ったところに、手づくり郷土料理の店「翔」があります。本日の先生池谷(いけや)タカさんのお店です。靴を脱いで上がるため、まるで人のお宅にお邪魔するような感じのお店です。皆さん店内に入ると壁や床の間に飾られている戦争中の品々に興味津々です。昼食のうどんを注文し茹でている間にDVD鑑賞。内容は地域のケーブルテレビで放映された「東京陸軍航空学校 少年飛行兵の記憶」(YouTubeでも見られます)。その中で戦争体験者の方が「戦争は絶対やってはいけない」と繰り返し語っていて、その言葉が心に響きました。一緒に見ていた生徒さんたちも同じ気持のようで、その瞬間はみなさんの会話が止まっていました。DVDが終わりちょうど良いタイミングでうどんが茹で上がり、全員で食事を楽しんだ後はコーヒーをいただきながら、いよいよタカ先生の授業開始です。

授業 
2015-09-03-r5.JPG 当初はコーディネーターがいくつか質問しながら先生にお答えいただくかたちで、授業を進めるつもりで、戦時中の航空学校の様子など概要的なお話をお聞きしていたのですが、先生の張りのある声のお話に皆さんがつられたのか、生徒さんたちから、「戦争中の着る物や食べ物は不足していたのですか?」「学校の少年兵たちの食べ物は十分あったのですか? とか「兵隊さんって本当に怖かったのですか?」など矢継ぎ早に質問が始まりってしまい、思い通りの進行とならなかったのですが、先生にてきぱきと回答していただくことで、生徒さんたちも疑問を直接聞くことができ、満足をしていただいた様子でした。

資料館(仮) 
2015-09-03-r6.JPG 次にお店の裏手にある、プレハブでできた「資料館(仮)」へ移動します。(仮)と付けたのは、隣接地へ武蔵村山市が本物の資料館を建設中で来年完成予定だからです。ここには先生自身が収集したり、東航学校の卒業生たちがお店に持ち込んだりした品々が並んでいます。さきほど店内で見た品々はその一部のようです。当時の学園の様子を写した写真や絵、戦争中に書かれた操縦日誌、当時の軍服などもありました。ここでも先生から解説をいただき、予定時間を過ぎながらもみなさん聞き入っていました。 

再び住宅街へ
2015-09-03-r7.jpg たくさんのお話をうかがい、たくさんの資料も見学もさせていただきました。名残惜しいのですがタカ先生と別れを告げ、玉川上水駅方面へ向かいます。生徒さん数人が、「必ずまたうどんを食べにくる」と住所を控えていたことがとてもうれしく感じました。再び住宅街を歩くのですが、さっき見た陸軍施設の写真が頭に浮かび、ここにあの施設があったことが不思議で仕方ない気持ちでいっぱいです。国立音楽大学脇や大学ホール前などを通り玉川上水駅へ向かいます。駅前に出たところで、少し方向を変えて団地の中を抜け旧日立航空機発電所跡へ向かいます。

旧日立航空機立川工場変電所
2015-09-03-r8.jpg 普段はあまり人のいない変電所跡の建物前に人が大勢居ます、偶然にもこの日は年に数回の内部開放の日でした。東大和市職員の方が待機しており解説まで聞くことができました。百名を超す空襲の死者の大半が、爆弾投下によるものでなく機銃掃射によるものという話が印象的で、建物に残る銃弾痕がその凄さを物語っている気がしました。最後に玉川上水駅南側にある空襲できた250トン爆弾の大きな空爆痕を見学して授業終了となりました。解散時刻は16:15少し予定時間をオーバーしましたが、先生の池谷タカさん、そして旧発電所跡の開放日と楽しくそして内容の濃い授業だったと思います。

レポート|松井信雄

■テーマ
今年で戦後70年を迎え、その痕跡を目にする機会は少なくなった。
しかし大戦中は多摩地域全域に軍事施設が存在し、現在の30市町村内すべてに大小数々の施設が点在したといわれる。
今回は武蔵村山市と東大和市に残る戦争の痕跡を徒歩で巡ると共に、当時の人々の気持ちに思いをはせ、現在の平和について考える。

■対象者
多摩地域の歴史について興味のある方。

■授業について
武蔵砂川駅から少年飛行兵学校跡地付近を徒歩で見学。
その後食事をしながら授業を受け、DVD鑑賞や展示室見学などで2時間程度過ごす。
帰路は玉川上水駅まで徒歩で歩き、途中で旧日立航空機立川工場変電所を見学する。


■授業の流れ
12:00
西武拝島線武蔵砂川駅集合(食事はとらずに集合)
12:10
挨拶、自己紹介、概要説明
12:30
東航通りを経て東航碑正門見学→揺籃碑見学
12:40
うどん「翔」食事と資料見学
14:00
敷地内にある展示室の見学
15:00
東大和銃撃跡(旧日立航空機立川工場変電所)見学
16:00
玉川上水駅にて解散

■持ち物
帽子、雨具、財布、カメラなど。

■定員・締切
10名(先着順)

■注意事項
一般道を歩くため一部道が狭くなっている場合があります、歩行の際はご注意ください。
また、一部は住宅街内を歩きます、大きな声での会話など住人の方の迷惑にならないようご注意願います。
学生登録してからお申し込みください。
※最近HotmailやGmail等のフリーメールからお申込みいただいた方で参加のお知らせをお送りすると「迷惑メール」フォルダに自動的に入ってしまい、気づかずにご参加いただけなかった方が増えています。本授業をフリーのメールアドレスからお申し込みいただいた方はご注意ください。

先生プロフィール:
池谷 タカ(東京陸軍少年飛行兵学校 元職員)

池谷タカ、大正15年生まれ。戦時中東京陸軍少年飛行兵学校で職員として働き、多くの少年飛行兵を見送った。学校は終戦と共に廃校となり退職。近年、昔を知る仲間が作った「少年飛行兵学校をしのぶ会」の集まりに参加。その場で得意の かてうどん など郷土料理をメンバーに振る舞う。これが好評で、武蔵村山市が開催する郷土料理講習会講師の声がかかり、地元主婦に「村山かてうどん」や「すいとん」の作り方を教えることに。郷土料理などこの土地の歴史を若い世代に伝えていこうと、四人の娘たちと共に郷土料理の店「」をオープン。名前には、「少年飛行兵学校」に対するタカの忘れられないさまざまな想いが込められている

授業一覧