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誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

これまでの授業レポート

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2014年9月23日 (火)
多摩川伝統漁法を学び食そう! (日野市)

日時
2014年9月23日(火・祝)11:00〜18:00
教室
多摩川&浅川(MAP) / 居酒屋ちゅらさい
定員
20名(抽選)
授業料
無料。 但し、参加実費として4000円(内訳:入漁料 1000円 + 魚持込調理代 3000円 (ドリンク込))
先生
須賀 一雄
協力
多摩川漁業協同組合
授業コーディネーター
天野 洋嗣

■授業レポート

■集合・自己紹介
心配していた台風の影響も無く、気温も上がり汗ばむほどの良い陽気、穏やかな秋晴れの一日となりました。参加者は20名、親子や夫婦での参加も多く小学生からシルバー世代まで幅広い年齢層の生徒さんが集まりました。
集合場所の京王線百草園駅近くの駐車場で授業の説明と自己紹介。徒歩で浅川に移動し授業開始です。

■伝統漁法の見学
今回はなんと、秋川漁協の皆さんが伝統漁法「さくり漁」をデモンストレーションしてくれるというサプライズがありました。「さくり漁」というのは竿の先に釣り針がついた漁具と箱眼鏡(箱面)を使い、水中の鮎を引っ掛けて獲るという漁法。デモンストレーションの後、希望者がいれば体験させてもらえるとのこと。
漁師さん達はウエットスーツに身を包んでいます。参加者にはライフジャケットが配られました。川の水深は膝上くらいまでという話でしたが、ウエットスーツやライフジャケットを身に付ける必要があるのでしょうか。ともかく、言われたとおりに濡れてもいい服装に着替え、滑らない靴とライフジャケットを身につけて川におりました。
秋晴れとはいえ9月も下旬、川の水は冷たいと予想していましたが、さほどでもなくヒンヤリ気持ちのいい水温。そして、水深は膝まで届かない浅瀬。ライフジャケットなんてオーバーだよね?なんて笑いながら川の中ほどへ。さくり漁が始まります。
漁をするのは対岸寄りの流れの速い場所。まず「おどし」と呼ばれる道具(白い紐でできた縄のれんの丈を短くして幅を長くしたようなもの)を川下に設置。ウエットスーツを着て竿を手にした漁師さん4人は川上へ移動。箱眼鏡(箱面)をつけると、流れの中に腹ばいになって浮き、そのまま流れに身を任せるように流れてきました。川面に浮いた状態で水中の鮎を探し、竿の先についた針で引っ掛けて獲るのです。針にはテグスがついています。数回繰り返すうちにバシャッ!という水音がして漁師さんが立ち上がりました。テグスの先には鮎が! お見事です!! 
デモンストレーションのあと、漁師さん達に質問、お話を聞きました。
・今回は「伝統漁法」ということで手製の箱眼鏡(箱面)を使ったが、現在は通常シュノーケルを使う。手製の箱眼鏡は口でくわえるので歯が丈夫でないと難しい。
・1人では難しく2人で組んで鮎を追い込む。「おどし」をおいて置くと鮎が怖がって通れない。
・以前は多摩川でも行われていたが、現在は技術を持った人がいない。秋川ではまだ行われている。
・引っ掛けるのは背中、なるべく尾のほうが魚体に傷がつかなくて良い。
などなど、興味深い話をたくさん聞くことができました。

■昼食・須賀先生による多摩川の魚と伝統漁法のお話
昼食休憩のあと、多摩川漁協副組合長の須賀一雄さんのお話を聞きました。
・多摩川漁協の組合員は現在450名、そのうち日野支部は40名。
・多摩川は年々キレイになっている。清流にしか生息しないといわれているカジカやカジカガエルも見られるようになった。
・多摩川漁協では昭和26年から毎年鮎を放流している。昨年は650万匹。
・放流用の鮎の稚魚は淡水産のものを取り寄せている。天然の鮎の稚魚は淡水では育つことができない。孵化後すぐに海に下り、成長して春になると川を遡上してくる。
・この場所では鮎、ウナギ、オイカワ、モクズガ二、スッポン、鯉なども獲れる。
・遊漁券はコンビニで購入できる。

■あんま釣り&穴釣り
午後は釣り体験です。篠竹を使って仕掛けを作ります。「あんま釣り」はしなやかに曲がる細い竹を使い、テグスと針を結びつけ、餌は川虫を使います。ウナギを獲る「穴釣り」は大きめの針にテグスを結びつけ、しっかりした竹の先に針を引っ掛けておきます。餌は鮎の切り身がいいそうです。
仕掛けができたら川へ下りて釣り体験開始です。
「あんま釣り」は、まず餌になる虫探し。水中の石をひっくり返し川虫(カゲロウの幼虫)などを探し、針につけます。餌をつけたら、川下に向かって流し、竿を水中で水平近くに持ち、流れに沿ってゆっくり動かします。そのまま川下に向かって少しずつ移動していきます。魚が食いついたらクッ!と、竿を引くと釣れるそうです。狙うのはオイカワです。
「穴釣り」は餌をつけた竿の先をウナギが潜んでいそうな穴に差し込み、ウナギが食いついたらテグスを引き、釣りあげます。モクズガニが掛かると糸を切られることもあるので注意します。餌は冷凍の鮎を細かく切ったものを用意してくれました。多摩川漁協の人たちにウナギのいそうな穴を教えてもらいました。

■投網体験
希望者は「投網」の使い方も体験させてもらいました。左手でロープを、右手で網を持ちます。網は小指を引っ掛けておくのがコツだそうです。体を回転させるようにして反動をつけて投げます。私も挑戦してみましたが、網が重くて肩に担いで構えるだけでも一苦労、ロープを握ったまま網だけ投げてしまい失敗しました。他の参加者さんも初めての体験に四苦八苦。上手に投げられるようになるには相当練習が必要のようです。
須賀先生が投げるとキレイに丸く開きました。これはかなりの熟練の技、さすがです。一度の投網で多いときには100匹くらいの魚が入るそうです。しかし、15cm以下の小さい鮎は獲ってはいけないという自主規制のため、網の目が大きくしてあり、100匹入っても、残るのは1?2匹だそうです。

■その他の漁法
・鮎の「コロガシ釣り」のデモンストレーションもありました。たくさん針のついた仕掛けで鮎を引っ掛ける漁法だそうです。
・モクズガニは川底の大きめの石の下に隠れているので、石をひっくり返すと出てくることがあるそうです。

■釣果発表
2時間ほど川に入っていろいろな漁法を体験しました。時間のため集合すると、先ほどまで「あんま釣り」をしていた辺りで魚がピョンピョン跳ねています。人がいなくなって、隠れていた魚達が戻って来たのでしょうか?
川から上がって着替えたあと、釣果発表です。
・「あんま釣り」の釣果・・・ 0匹。残念。たくさんの人が一度に川に入ったので魚が逃げてしまったのかもしれませんね。
・「穴釣り」の釣果・・・ 0匹。こちらも残念。ウナギが居そうな良い穴で餌だけ食われてしまった人もいました。この日は水深が浅くて、以前ウナギを釣った穴に水が無かったという話もありました。
秋川漁協の漁師さんが獲ってくれた鮎とオイカワを持って「ちゅらさい」へ移動。
秋川漁協の皆さま、ありがとうございました。

■居酒屋「ちゅらさい」で本日の釣果を食べる
「ちゅらさい」のご主人も多摩川漁協の組合員。浅川でウナギを獲った経験もあるそうです。大きな鯉をさばいて調理してくれた「鯉のあらい」や「鯉の唐揚げ」、事前に獲っておいてくれた「モクズガニの味噌汁」も美味しかったです。与論島の郷土料理「冬瓜なます(メジナ入り)」は60cmくらいある大きな冬瓜が器になっていました。獲ったばかりの鮎は焼き魚、オイカワは天ぷらで頂きました。鶏の唐揚げやサーターアンダギーもあり、ドリンク類は飲み放題、お腹いっぱい。ごちそう様でした。
支流の程久保川で獲れたスッポンも見せていただきました。
最後にアンケート記入、全員で集合写真を撮り、20時に授業終了。お疲れさまでした!!
この後、希望者は引き続き3次会。副組合長や居酒屋のご主人も交えて楽しい夜でした。
続編を希望する声が多かったので、来年は第二弾があるかもしれませんよ。

レポート|井口K子

■テーマ
多摩川に伝わる伝統漁法を学びながら、昔の人たちが魚の生態を知り編み出した漁法を学んでいきます。そして残していきたい伝統漁法を次の世代の人たちにも学んでいただき、多摩川をもっと身近なものとして愛していただけるきっかけづくりにして欲しい。

■対象者
・多摩川の伝統漁法に興味のある方
・昔の人の川遊びを学びたい方
・多摩川の生きものを食べてみたい方

■授業について
多摩川漁業組合さんの協力で開催する授業です。多摩川水系は江戸時代「御用鮎」の産地で将軍に献上していた品質の高い鮎や、江戸庶民が食したウナギなどが生息しています。
今でも多摩川の鮎やウナギは地元で高額で取引される知る人ぞ知る魚です。
ニホンウナギは2014年6月「絶滅する危険性が高い絶滅危惧種」に指定されレッドデータブックに掲載されました。ニホンウナギはその生態がまだまだ謎で未知の部分も多い生きものです。
多摩川漁協ではこのニホンウナギや鮎の保全・放流活動をおこなっています。今回は多摩川に遡上する鮎やウナギ、オイカワやハヤなどの生態を知り、多摩川の伝統的な漁法を知っていただきたいと多摩川漁協さんの協力をいただきました。
今回の授業では多摩の人たちが代々営んできた伝統漁法を学びながら、実際に釣り体験をおこないます。

1.あんま釣り(状況でないかも)
オイカワやハヤなどの魚を釣る多摩川の伝統的な釣りです。
2.投網(大人のみ。状況でないかも)
鮎を傷つけないまま捕獲する漁法として広く伝わっています。
※まあるく投げられたらいっちょまえです。
3.穴釣り
ウナギの伝統漁法です。ニホンウナギはレッドデータブックにも記載されるほど希少な生物です。
いまだ生態が良く分かっていません。今回の授業ではその希少なウナギの生態を学びながら釣る授業。
ウナギは河川敷に「ウナギ穴」という穴を作り、そこで小魚やエビなどを補食します。穴釣りは江戸時代から続く多摩川の伝統漁法で、篠竹とハリとテグスで釣る伝統漁法です。
4.もずく蟹漁(見せるだけかも)
多摩川に多く生息する「もずく蟹」。味は上海蟹にも劣らない美味な味。
これを簡単に捕獲する多摩川に育った人だから知っている漁法を授業で紹介します。

そしてもし釣れたら。。。みんなでその日に味わってみましょう。
高幡不動で魚に詳しい「ちゅらさい」さんで今日の釣果を堪能します。
家族での参加も大歓迎です。
普段遊べない川での遊び方も学べます。川に石を投げるガキンチョにはおじさんからゲンコももらえる特典も!
釣り体験は「穴釣り(鰻)」がメインとなりますがその場にあるものを使って餌取りから始めます。
※台風で増水した場合などは中止になる可能性もあります。

■授業の流れ
11:00
集合場所:京王線 百草園駅改札
集合後、徒歩で浅川に移動します。
11:30
授業開始
・自己紹介
・ランチをしながら須賀先生による多摩川の魚と伝統漁法のお話し
13:00
多摩川の伝統漁法の体験(穴釣り、あんま釣り、投網、モズクガニ釣りなど)
※当日の天候・水量などでおこなわないものもあります。
15:30
本日の釣果発表、ちゅらさいに移動
16:00
居酒屋「ちゅらさい」で本日の釣果を食べる。
18:00
記念撮影、授業終了

■持ち物
・ 服装:川に入りますので水に濡れても良い服、水着などを着用して下さい。
日焼けや虫対策に長袖の服をご持参ください。
・ 靴:川床は滑るのでスニーカーや釣り用シューズをご持参ください。
・ ランチ:各自昼食用のランチをご持参ください。
・ 手袋:軍手もしくはラバー仕様の手袋をご用意ください。
・ コップ:餌となるミミズや幼虫を取りますのでお持ちの方はご持参ください。
・ 熱中症対策:9月ですが熱中症にご注意ください。帽子やドリンクなど。
・ 敷物&雨具:レジャーシートや雨具をお持ちの方はご持参ください。


■定員・締切
20名(抽選)9月15日(月・祝)締切

■注意事項
・ 熱中症にご注意ください。
・ 河川敷には蚊や蜂などはあまり生息していませんが虫除けスプレーなどで防護してください。
・ 河川はゲリラ豪雨などにより急激に水かさが増す場合がありますので、避難する場合はスタッフの指示に従い迅速に行動して下さい。
・ 参加者全員にボランティア保険に加入いただきますが、救護用の薬品などは各自ご用意ください。
・ 先生、スタッフの判断により万一の場合は授業を中止にする場合があります。

※学生登録してからお申し込みください。

※最近HotmailやGmail等のフリーメールからお申込みいただいた方で参加のお知らせをお送りすると「迷惑メール」フォルダに自動的に入ってしまい、気づかずにご参加いただけなかった方が増えています。本授業をフリーのメールアドレスからお申し込みいただいた方はご注意ください。

先生プロフィール:
須賀 一雄(多摩川漁業協同組合 副組合長)

日野市在住 定年退職を機に好きな釣りにのめりこむ。
多摩川漁業協同組合に加入。日野支部長になり組合の各種取り組みに参加。
近隣の小学校などの校外学習の講師などを歴任する。
多摩川を愛する熱い男。

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