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誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

これまでの授業レポート

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2014年3月 1日 (土)
川の源流で海を知る。 〜世界をまたにかけた帆船好きなおっさんに、海図の見方を教えてもらおう〜(青梅市)

日時
2014年03月01日(土)17:30〜19:30
教室
ギフトアヅマ 2Fシェアスペース(青梅市)
所在地
東京都青梅市河辺町10-17-1 アヅマビル
青梅線河辺駅より徒歩10分
マップ
定員
10名
授業料
無料(但し、最初の1杯500円、ワークショップ実費として1000円)
飲み物は2杯め以降キャッシュオンです。
ワークショップ実費は500円上限の予算です。
先生
田中"ぶんごー"稔彦
授業コーディネーター
地図部(青木 将美)

【授業レポート】


海図授業に係るレポート

ご参加頂いた生徒さんは11名(男性7名、女性4名)。
みな海図や帆船に興味津々の様で、夜の授業にもかかわらず、数名の方は遠く都内からのエントリーです。会場はJR青梅線河辺駅から徒歩5分程にあるイベントスペース。「川の源流で海を知る」という今回の授業コンセプトに相応しい場所です。
ちなみに海図とは「航海のために必要な水路の状況を表示した詳細な海底地形図」のことです。

17時30分、まずは生徒さんより受講動機を含めた自己紹介。「海図を見たことがなく興味があった」、「船舶免許を持つなど海図が身近な分、更に知りたいと思った」、「立川市にある海上保安試験研究センターに行ったのを契機に海図に興味を抱いた。海の下の地形に興味があった」、「普段登山を通じ山の地図に触れている分、正反対の海の地図に興味があった」、「島巡りが趣味で、将来は海図を使いカヤック等で島巡りをしたい」、「海図に等高線はあるのかなど、海図にどんなことが描かれているか興味があった」など、動機は様々ですが、この授業を契機に海と繋がって行きたいという思いが伝わって来ました。

続いて講師役である「田中ぶんごー稔彦」先生より自己紹介。29歳の時に参加した「帆船の体験航海」プログラムを契機に帆船のボランティアクルーに。以降15年間は1年の内2ヶ月を海上で過ごし、帆船での積算航海距離は地球1周半超にもなるとのこと。2001年には2000年に参加した「大西洋横断帆船レース」の航海記である「帆船の森にたどりつくまで」にて第5回海洋文学大賞を受賞。この時以来、この受賞にちなみ「ぶんごー(文豪)」というニックネームで呼ばれる様になったとのことです。

17時50分、お酒を片手にいよいよ授業のスタートです。海図上の数値や色使い、描写の意味等々について、実演(井上式三角定規他)を交え詳しく教えて頂きました。例えば海図上では航行に関連の薄い陸上の造形物は省略化して描かれるものの、沿岸部では目測が重要となるので、海図上で高さが判断出来るよう煙突83や橋11などと記されます。これはそれぞれ煙突の高さや海水面から橋桁までの距離を表すそうです。

講義がひと段落したところで生徒さんからの質問タイム。海図や帆船についてとても多くの質問がなされました。その一部を下記に紹介します。
Q1:海図の図法は? A1:メルカトル図法。ただ、方角は合致するが距離は実際とは異なる。
Q2:海図の値段は? A2:一枚3500円程度
Q3:デジタルの海図はあるのか?  A3:ある。最近では(船の)位置取りもオート作業。ただ、航行に海図原本は携行は必須。
Q4:潮流は海図に描かれているか? A4:海図ではなく、潮流図という専用のチャートがある。
Q5:海図は使い回しするのか。 A5:するので、書き込むときは芯の柔らかな鉛筆を使う。
Q6:水深は変化するのか。  A6:河口などは川からの堆積物の影響で頻繁に水深が変わる。なお、海図上の青塗り部分は浅い海域を示し、水深は干潮時の海面と海底との距離となる。
Q7:水深の測定方法は? A7:現在は音響測定。
Q8:現在地の測定方法は? A8:GPSが主。沿岸航海時はレーダーを使い陸上の目的物との角度
や距離から位置を出すことも多い。
Q9:船の航行は自由か。  A9:基本的に自由だが、港の中や海峡などの狭い場所などでは細かいルールが決まっている場合がある。
Q10:船は左右どちら通行か?  A10:右側通行。相手の船を左手に見ている船が優先。3隻以上が交差する場合はGood Seaman Shipに依る。
Q11:船に関するルールはイギリス由来が多いのか? A11:そう。ただし時代や地域によって固有のルールも多かったため未だに地域によって同じ標識でも意味が反対なものも存在する。
Q12:帆船は自動操縦か?  A12:自動操縦が出来る帆船もある。なお、自動操縦の腕は素人より上手いがプロより下手といった印象。エンジンや発電機が止まっても舵は動かせる。
Q13:船の長さ・幅に比べマストが巨大過ぎ非常にアンバランスに見えるが、荒天時などバランスを崩し転覆などしないのか?  A13:船底に巨大なバラストを装着しており大丈夫。荒天時には船のバランスを考えて帆は高い所にあるものから畳む。
Q14:船の乗組員の勤務サイクルは?  A14:基本的に3チーム4時間交代。最近では女性クルーも珍しくなくなってきている。

19時30分、名残惜しくも講義終了。質疑応答が活発過ぎて、ロープワークの実演は次回へ持ち越しとなりました。
今回は海図と青梅という意外な組み合わせでしたが、ぶんごー先生の豊富な知識と話術のお陰でとても楽しい時間を過ごせました。講師役初体験の先生においては非常に気苦労もあったかと思いますが、興味深い話をたくさん聞かせて下さってどうもありがとうございました。いつか話に出た神田川クルーズを実現させたいですね。


以上(レポート:青木 将美)

■テーマ
・普段は全くイメージしない「海からの視点」でものごとを見るとどう見えるのか、みたいなことを考えるキッカケをつかむ。
・川っていずれ海に流れるんだ!を思い出す。
・思い出したら、陸での過ごし方を少し変えてみる(ことになるかもしれない)。

■対象者
・「地図好きだから海図もきっと好きに違いない!」な方
・学生の頃に地理の授業が好きだった方
・海なし地域だけど海好きの方
・海に関わった仕事をしている方

■授業について
にわ大地図部は、「地図をツマミに酒が飲める」人たちの部活です。
この授業、もともとは地図部員 青木の「地図好きは海図好きに違いない!だから海図をツマミに酒が飲めるに違いない!」というアホな思いつきから、地図部のワークショップとして企画しはじめました。

とは言いつつ...。
部活でなくて授業にするんだから、青木も無いアタマを使って必死に考えました。にしがわで「海」を授業にする意味を。 漁師さんでも無い限り、普段の生活で海を全く意識をすることがないと思います。
でも、森で育まれた養分が川を下り海に流れ、更に海で雲が出来て森に雨が降る。海のないにしがわですが、実は全く無関係ではないんです。そんな訳で、若干無理はあるものの、あえて海の地図「海図」を授業にしてみます。

海図は、航行や港に入るのに危険なものはないかを記しています。
地図が等高線で「高さ」を記して「登坂の大変さ」を知るのに対し、海図では「浅さ」で船の航行に障害が無いかを知ります。同じ「道や地形を記す図」でも、陸と海では描き方も見方も全く異なります。

今回の授業では、ゆるゆるお酒や飲み物をひっかけながら、帆船乗りのぶんごー先生に地図とは真逆の海図の見方や、具体的な使われ方を教えてもらいます。更に、この授業をきっかけに海に興味を持った方向けに、先生から参考図書もご紹介して頂けます。
ワークショップもご用意してますよ。どんなワークショップかは当日のお楽しみです。

海図の見方を通して、「逆の方向から見たらどうなるか?」と言う視点も一緒に持って帰って下さい。
海から見たにしがわはどんな感じか?を想像できたら楽しいですよ、きっと。

■授業の流れ
17:15
会場にて受付開始
17:00ころより、河辺駅改札前に案内スタッフが待機しています
17:30
企画の説明と先生の自己紹介
参加者の自己紹介
17:50
海図の見方講座
海図とはなにか?、海図の記号、海視点で見たときに何が大切か?を教えて貰います
18:30
海図の使い方実践編
実際の航海では海図をどのように利用しているのかの具体的な解説します
そこから船の日常や海での暮らし方を感じて下さい!
19:10
海の本の紹介
海に興味を感じた人が読むと面白そうな本などを紹介します
19:20
質疑応答
授業で気になった点を先生に質問!
19:30
終了
アンケート、記念撮影

■持ち物
・好奇心
・心意気
・地図部員はお気に入りの地図(地図部恒例。任意。)
・お気に入りのチーズの持ち込み歓迎します(任意)

■定員・締切
10名(抽選)

■注意事項
・会場のオーナーのご好意でお酒OKになりました。
 ただし、ヘベレケ厳禁でお願いします。
・2杯め以降はキャッシュオンデリバリー方式です。
・お酒以外にお茶をご用意しておきます。
・ツマミは簡単なものしかご用意できません。
 空きっ腹で飲みたくないと言う方は、なにか軽くつまんでからお越し下さい。
・授業終了から会場引渡しまで30分のみです。
 授業の進行状況によっては、おかたづけにご協力頂くかも知れません。ご了承下さい。

※学生登録してからお申し込みください。
※最近HotmailやGmail等のフリーメールからお申込みいただいた方で参加のお知らせをお送りすると「迷惑メール」フォルダに自動的に入ってしまい、気づかずにご参加いただけなかった方が増えています。本授業をフリーのメールアドレスからお申し込みいただいた方はご注意ください。

先生プロフィール:
田中"ぶんごー"稔彦(帆船乗り)

1997年、29歳の時に仕事中心の人生に疑問を感じ、今までと違う「なにか」を始めたいと思う。
その時にたまたま出会ったのが「帆船の体験航海」プログラム。
まだ寒い二月に大阪から鹿児島まで、舵を取ったり、帆を張ったり自分たちで船を動かす一週間の航海を体験。
海や船に全く興味がなかったのになぜか心に深くささり、その後「あこがれ」「海星」という二隻の帆船にスタッフとして関わるまでになる。
スタッフとしては主に体験乗船者をサポート。
乗船者が航海の中で感動や発見を持ち帰ってもらうにはどうすればいいのかを考え、実践する機会ことで、自分自身にとっても大きな刺激となる。

気が付けば帆船での航海距離が地球を一周半。
15年間でのべ500人と航海の日々をともにする。
2000年には大西洋横断帆船レース、2002年には韓国帆船レースにも参加。
2001年、大西洋レースの航海記「帆船の森にたどりつくまで」で第五回海洋文学大賞を受賞。

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