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誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

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2013年8月10日 (土)
想いを伝える「本棚」をつくってみよう(国分寺市)

日時
2013年08月10日(土)13:00〜16:00
教室
西国図書室
所在地
国分寺市日吉町1−40−46/西国分寺駅徒歩10分
定員
10名(抽選:8月3日(土)締切)
授業料
無料
先生
篠原靖弘
授業コーディネーター
伊藤貴大

【授業レポート】
※授業の様子はFBアルバムにてご覧いただけます。

JR中央線の西国分寺駅から徒歩約10分の元洋裁店が今回の教室です。参加した学生は11名。今回の教室は篠原先生のご自宅。そして、先生のご自宅は、週に一度「住み開き」をしている蔵書300冊の私設の図書室なのです。

【西国(にしこく)図書室の紹介】
ご自宅を週に一度「住み開き」で「図書室」として開放、そこに至るまでの経緯のお話です。 先生が二十代の時、世田谷区の「松陰コモンズ」という古民家で、男女7人シェアハウス暮らしをしていました。そこは、シェアで住むだけでなく、ライブや映画会など、さまざまなイベントを行う「松陰カフェ」と呼ばれる地域の人たちにとても親しまれている場所でした。「地域の人たちとつながっていく面白さ」はその二十代の体験が原型になっていたとのことです。 その後、その古民家(シェアハウス)が取り壊されることを契機に、松陰コモンズとは別のシェアハウスに住んでいた現在の奥様とご一緒に引っ越しを決意され、たまたま発見したご国分寺の物件に惹かれ、お二人の住居に決めたそうです。ここは元洋裁店兼住居で、玄関には当時のまま「マルモト洋服商会」と書かれているのです。 その洋裁店の2階をお二人の住居として、1階を地域の人たちに開く何かができないかと考えた時、それは何でもよかったそうです。例えば、駄菓子屋でもよかったそうですが、たまたま元洋裁店の構造が図書室にちょうどよかったので、そこから本を媒体とする試みがスタートしました。本は個人を開き、まちに暮らす人と人とを繋げるツールとなることを経験上実感していたからです。
ただ、地域の人とつながる図書室をという発想があっても、実際には何から手を付けていいか右も左もわかりません。誰も気づかないし、来てくれない。そこで思いついたのが、町内会の回覧板。初めはその回覧板に乗せる方法すら分からず、回覧板を回す家を、川を上流に向かって進むように、1軒1軒を順番に訪ねていったそうです。

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ブランコに乗りながら「西国図書室」開設までの経緯をお話ししてくれている篠原靖弘先生。とても気さくな先生です。

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暑い教室を抜け出して、急遽、近くの公園に移動。緑と風と太陽の下で語る本の話がとてもマッチしていました。

【図書室の仕組み】
自分のお気に入りの本、人に読んでもらいたい本を1冊預けると、交換として別の人のお勧め本を1冊借りられます。自分の本には「本籍証」を付け、名前とお勧めの理由などを記入します。逆に借りた本を返す時には「旅の記録」に持ち主への感想などを書く仕組みです。例えば「ダライラマの本を置いて行った人が、猫の本を借りていく、その人の気持ちが面白い」「見ず知らずの人が自分の本に嬉しい感想を書いてくれて、その人と偶然に図書室で出会ったりするつながり方が面白い」とのことです。 西国図書室の会員さんからも1名、お手伝いとして参加していましたが「これはと思って貸している本に感想が何もない(借りられていない)と寂しいです。逆にそんなに人気ないだろうなと思っている本に感想が書かれていて、その意外性も面白い」とのことでした。
毎週日曜日の午後に開館。今では会員80名、蔵書300冊の規模です。

【学生さんの持ち寄った西国図書室に置きたい本】
それぞれ持ち寄ってきた本の紹介タイムです。
みなさんの個性と本への熱い情熱、聞いているだけでもとても楽しい時間で、暑さも忘れます。さて、どんな本があったのでしょう。興味津津。

<紹介順>
1. ニセ科学を10倍楽しむ本(山本弘)
2. キャッチャーインザライ(ライ麦畑でつかまえて)(J.D.サリンジャー:村上春樹訳)
3. 僕の好きな人が、よく眠れますように(中村航)
4. リレキショ(中村航)
5. 暇と退屈の倫理学(國分功一郎)
6. くちぶえサンドイッチ(松浦弥太郎)
7. 寺内貫太郎一家(向田邦子)
8. ビタミンF(重松清)
9. 28年目のハーフタイム(金子達仁)
10. カシオペアの丘で(重松清)
11. 拉致と決断(蓮池薫)
12. 誰の上にも青空はある(HABU)
13. 手紙屋(喜多川泰)
14. 世界を変えるオシゴト(マリー・ソー、キャロル・チャウ)
15. 仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか(山本ケイイチ)
16. いつか王子駅で(堀江敏幸)
17. 明け方の猫(保坂和志)
18. 千年ごはん(東直子)
19. 御馳走帳(内田百聞)
20. 最後の恋〜つまり、自分史上最高の恋〜(角田光代他)
21. もう一度、ごちそうさまが聞きたくて(栗原はるみ)
22. フレデリック(レオ・レオニ)
23. なつのあさ(谷内こうた)
24. 谷川俊太郎詩集
25. たんぽぽのお酒(レイ・ブラッドベリ)
26. あのやまこえてやってきた(長谷川集平)
27. クリスマスのおくりもの(ジョン・バーニンガム)
28. SNOOPY(チャールズ・シュルツ)
29. ねことオルガン(今西 祐行 著, 中谷 千代子 イラスト)
30. 蔵書の苦しみ(岡崎武志)
31. 街場のメディア論(内田樹)
32. 有名人になるということ(勝間和代)
33. ロックで独立する方法(忌野清志郎)
34. 痴人の愛(谷崎潤一郎)
35. 夜のピクニック(恩田陸)
36. 博士の愛した数式(小川洋子)
37. らせん(鈴木光司)
38. 終末のフール(伊坂幸太郎)
39. 風景進化論(椎名誠)
40. 幸せは白いTシャツ(片岡義男)
41. ブラック・ティー(山本文緒)
42. こちら「ランドリー新聞」編集室(アンドリュー・クレメンツ)

*漏れがあったらごめんなさい!でも、どれもこれもみんな魅力的な本ばかりです。上記の本を西国図書室で見かけたら、ぜひ借りてみて「旅の記録」に感想を書いてくださいね。

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本の紹介。切り込み隊長の学生さんが持参したのは『キャッチャーインザライ(J.D.サリンジャー:村上春樹訳)』。最後まで読んだけど、どこが面白いんだか分からない。誰かこれを読んでどこが面白いのかを僕に教えてください!こういう持ち込み方もあるのですね。みなさん大爆笑。読んで感動した人がいましたら、彼に救いの手を!

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外気の暑さより、心の熱さのほうが勝っています。自分の持参した本を語る時の目が、ギラギラと太陽のように輝いていました。

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この日、重松清さんを持ってきた方が2名いました。こちらの女性は『カシオペアの丘で』。学生時代には親の仕送りをすべて本代に使っていたそうです。内緒♪

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仕事柄、子供たちに読み聞かせをよくするという学生さんの話に聞き入ります。

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付箋紙だらけ手垢のついた『谷川俊太郎詩集』と色褪せた『フレデリック』。風吹く緑の公園で、愛しい本たちを語る姿が眩しかったです。

【思いを伝える「本棚」をつくる】
西国分寺に引っ越しされた時は、今の奥様とお二人分のたくさんの本も一緒に持ち込まれたそうですが、当時はお互いの本には興味がなかったそうです。それがある時にお互いの本を「宇宙」とか「恋」とか「食べる」のようにテーマで結び付けていったのが面白く、それからお互いの本を読み始めたとのこと。
今回の授業はまったくバラバラの本と結び付けてみる面白さをみなさんに知ってもらいたい先生の想いがありました。例えば『禅と食(小倉玄照)』という本があります。おそらく本屋さんだったら「思想」か「食」のコーナーに置いてあるでしょう。でももしかしたら「自分の人生を決めた本」という棚に置かれるべきものかもしれない。 今の西国図書室の本棚はまだそうなっていません。ですので、今日の授業をきっかけにして、そうしていくことにトライしてみたいと思ったそうです。

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今回のメインイベント。本棚作りに入ります。それぞれが持ち寄ったばらばらの本を、普通の本屋さんにはない括り方でまとめて行きます。まずは各自の持ち込んだ本に棚の名前を記入します。

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それはこっちのグループだ、いやあっちだとみなさんとても無邪気に大笑いしながらグルーピングをしていきます。心の痛む恋愛小説が「痛い本棚」。それなら、勝間和代も痛いぞと同じグループ。
おや、手前には忌野清志郎さんの顔もみえますね。「自由のあり方を考える本棚」で、蓮池薫さんとレオ・レオニと一緒のグループ。その意外性にみなさん大はしゃぎです。

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想いを伝える本棚の完成!

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思わずみなさんで、拍手、拍手。パチパチパチ!!

【まとめ】
とても暑い一日でしたが、みなさん、そんな暑さもなんのその。終了時間も大きく過ぎて、本漬けの内容の濃い授業となりました。その後、みなさんが会員登録。毎週日曜の開館日に来れば、いつでもお会いできますね。またお会いしましょう!そして「旅の記録」にたくさんの想いを書き入れましょう。ありがとうございました!

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千野(東京にしがわ大学スタッフ)




■テーマ

持ち主の想いが込められた「オリジナルの」本に触れて、また1冊ではなく数冊のセレクションを実際に作ることを通して、本の内容だけではない本の面白さを体験する。

■対象者
・とにかく本が好きな人
・書店に長時間居られる人
・シェア生活に興味がある人
・人の家にいくと本棚を観察してしまう人

■授業について

西国図書室は、まちに開かれたもちよりでつくる図書室です。本棚にはだれかの大事な本が詰まっています。老若男女がつどう図書室の本はノンジャンル。本屋さんとはひと味違った本たちをいじりながら、一工夫した本の並べ方を考えてみませんか。

西国図書室の本には、本のもちぬしが書いた『本籍証』、読み終えた人が書く『旅の記録』が貼られています。そこに書かれた言葉も頼りにすすめます。

だれかの大事な想いがつくる「本棚」を一緒につくりながら、本との出会いを体験してみませんか?



授業の前半では、自宅を図書室として開放している先生に、図書室を始めたきっかけとその仕組み、実際に行っていることなど、図書室のある暮らしについてお話を伺います。



後半では図書室にある、「旅する本」に参加者の皆さんが持ち寄った大切な本を加えて、「思いの込められた本棚」を実際に作ってみながら、「ちょっと違った本との出会い」を体験します。

■授業の流れ


13:00

集合

ガイダンス先生の紹介(西国図書室ってこんなところ)

13:20

自己紹介を兼ねて参加者の持ち寄った本の紹介

14:00

ワークショップ

i) これまでの内容をもとに棚に付ける「タイトル」を考える

ii) タイトルをもとに本をセレクトしてみる

iii) 本のセレクトと、そこに込めた想いについてそれぞれ発表

(i)〜(iii)を行ったり来たり、意見交換しながら数回繰り返す

15:40

まとめ(先生から総括、アンケート、記念写真)

16:00

終了


*終了後に懇親会も予定していますので、都合の良い方はご参加ください。


■持ち物
あなたの大事な本を数冊。(できれば、持ち寄った本を西国図書室から旅させてほしいです)

■定員・締切
10名(抽選:8月3日(土)締切)

■注意事項
※学生登録してからお申し込みください。
※最近HotmailやGmail等のフリーメールからお申込みいただいた方で参加のお知らせをお送りすると「迷惑メール」フォルダに自動的に入ってしまい、気づかずにご参加いただけなかった方が増えています。本授業をフリーのメールアドレスからお申し込みいただいた方はご注意ください。


先生プロフィール:

篠原靖弘(西国図書室 室長)




環境共生型の暮らしを提案するマーケティングコンサルタントを経て、不動産会社、工務店、設計事務所と住まいを中心とした暮らしづくりの仕事に携わる。2012年1月西国分寺に引っ越したことを契機に、本が旅する図書室『西国図書室』を自宅にてはじめる。現在、西国分寺を中心に「まちとつながる暮らし」を提案する不動産屋「まち暮らし不動産」をはじめ、「まち暮らし」を公私まぜこぜで実践中。


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