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誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

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2012年7月14日 (土)
人と暮らしと地域をつなぐ架け橋に(西東京市)

日時
2012年07月14日(土)10:00〜12:00
教室
パスレル保谷2階
所在地
西東京市泉町3-12-25 MAP
西武池袋線保谷駅からバス、西東京市役所保谷庁舎下車すぐ目の前
または西武池袋線保谷駅から徒歩15分程度。
定員
15名
授業料
無料
先生
堀田英子(NPOプラス・ド・西東京 理事)
授業コーディネーター
浅見義孝

【授業レポート】東京にしがわ、暮らしを守る、女たちの歴史。

今回の先生は、堀田英子さん。西東京市(旧保谷市)で生活クラブの活動を立ち上げ、食、福祉、環境、保育等のグループ16団体を育て上げた方です。
参加者は13名。会場のパスレル保谷は複合施設で、1階の「デポー西東京」では新鮮な食材を購入することができ、2階教室のとなりでは、デイサービスに通うお年寄りの元気な声がひびきます。
先生は「一主婦として」今回の授業に臨みたいということで、文中の表記も「堀田さん」とさせていただきます。それでは、授業の中から選んだ、七つのメッセージ、「堀田さん語録」をどうぞ。

1. 「専業主婦、世の中からおいていかれる不安。」
 堀田さんが結婚する際、ご主人から言われたことは、「自分は稼ぐから、あなたは家のことをやってほしい」ということだったそうです。
 70年代、時代は高度成長期。東京にしがわにニュータウンが造成され、日本全体が新幹線のように、猛スピードで走っていた頃、地域で暮らす多くの女たちは、堀田さんと同じ思いを抱いていたことでしょう。

2. 「集まって何かを買うと、安い。」
 「家族に、安全でおいしいものを食べさせたい」「自分が関わることで、安く買えるだろうか」大量生産、大量消費のあり方に、疑問を持った女たち。様々な実験取組の過程で、「産地から直接買う」「班*ごとに共同で買う」「生産から流通まで自分たちで管理する」といった仕組みができあがっていったそうです。
 *8-12世帯で構成され、計画購入する基礎となる単位。

3. 「自分たちでやらないと、問題はわからない。」
 生活クラブは、自主運営、自主管理が基本。例えば、安全な豚肉が食べたい。→豚はどうやって育てられて、どうやって卸すのか。→現地に直接出向いて、勉強する。自分たちで知識を追求する。その過程は、ヘタなカルチャーセンターよりよっぽどおもしろいと、堀田さんは言います。
 それから約30分、堀田さんの豚肉講座に、生徒の皆さんは興味津々。1頭の豚の、頭を落とす、爪を取る、皮をはぐ、枝肉にする、骨をはずす。そうすると、およそ48キロの豚肉になるそうです。
 堀田さんのいきいきとした語り口に、皆引き込まれていました。

4. 「生産者は作ることで、私たちは食べることで、つながる。」
 生活クラブの特徴のひとつに、「生産者原価保障方式」というルールがあります。「ちゃんとした消費材は、それに見合った価格で買う。そこに信頼が、つながりが生まれる。」...あ、これは、フェアトレード、ということですね。

5. 「まさか福祉までやるとは思わなかった。」
 5年後、10年後、どのようなまちづくりが必要か。地域づくり、人づくり、絆づくりを追求した堀田さんたちが出した答えは、福祉。まだ介護保険制度が始まる前のこと、民設民営の高齢者デイサービスは珍しかったそうです。多角的に事業を広げた結果、グループは16団体となり、地域における雇用の場と生活財消費の場を、自分たちで生み出すこととなりました。

6. 「勇気を持って他者に語ること。他人に話しかけるって勇気がいる。全員が同じ意見なわけじゃない。でも、同じ意見の人っている。」
「東京にしがわ大学のような活動がどうしたら広がるか、にわ大に関心のある人たちが、生活クラブのように、継続的に関われるようなノウハウを伝えてほしい」という生徒さんの質問に答えて。

7. 「今、すごく厳しいと思います。」
「働く女性が増加している中、生活クラブのあり方についてどう思うか」という生徒さんの質問に答えて。現在の生活クラブを支えているのは、50代から60代の方たちが中心。若い層の利用率が下がり、以前のような班活動の継続が難しくなっているという現状もあるようです。

堀田さんはまた、このようにもおっしゃいました。「専業主婦より、仕事しているほうがラク。皆ラクなほうに逃げたいのでしょう。」
いえ、働かないと生活が成り立たない女性が増えている現実もあるのです、と、言いかけて私は思いました。放射能、残留農薬、遺伝子組換え、添加物。食に対する不安は決してなくなっていない。一方で、生活クラブ、いいんだけど忙しくて参加できない、高くて買えない、そうした人たちの声にどう答えるのか。これは、生活クラブに限らず、現在の若い層の暮らしにかかわる、共通の問題なのではないかと。

暮らしを守る、女たちの歴史に学ぶこと。皆さんは、どのように考えますか?


■テーマ
生活クラブ生協に加入して40年の先生と、食の安全、地域のつながり、そしてこれからのことを考える。

■授業について
40年ほど前に、公害や食品への過剰な添加物などの社会問題を契機に主婦たちが立ち上がり、様々な生活協同組合がつくられました。

生活クラブ生活協同組合は牛乳の共同購入から始まり、卵、お米、豚の1頭買いへと活動を拡げてきました。
特に保谷支部(現まち西東京)では、独自の取り組みを行い先駆的な活動で知られています。

そこで保谷支部の立ち上げ当初から現在まで40年間!!地域をまわって仲間を増やし、時には地方の農家を訪ねたり、配送トラックの助手席に乗ったりしながら、生活クラブ生協の歴史とともに歩んでこられた組合員の方を先生にまねき、お話を聞きます。



質疑応答を交えながらお話を聞いたあとは、少人数のグループに分かれて、先生のお話を元にいくつかのテーマでディスカッションをします。

当時の主婦たちが考え、行動してきたことと、現代の私たちが考えている社会への思い・つながりなどとの共通点は?違いは?
ディスカッションを通してみんなで考えてみましょう。

ところで、今回の授業の教室は、昨年のオープンキャンパスで西東京チームが見つけてきた教室なんです。その名も「新しい仕事のカタチ教室」。
1年1ヶ月かかりましたが、授業が実現しました。
生活クラブ生協から生まれた新しい仕事のカタチについても考えてみたいと思います。

■授業の流れ
09:45
受付開始
10:00
はじめに
自己紹介
先生のおはなし
質疑応答
ディスカッション
まとめ
写真撮影
12:00
終了

■定員・締切
15名

■注意事項
※学生登録してからお申し込みください。

先生プロフィール:
堀田英子(NPOプラス・ド・西東京 理事)

1973年2月生活クラブ生協加入、卵部会参加、翌年常任委員、以後清酒の産直取り組み、 豚肉一頭買い、リサイクル運動、代理人運動、等に関わる中で多くの仲間にめぐり合う。
1985年5月〜1990年5月生活クラブ生協東京理事就任、消費担当、この間生活クラブ事業連合会消費委員。
1993年3月社会福祉法人悠遊認可、理事長就任、同年旧保谷市の受託により高齢者在宅サービスセンター「ディサービスいずみ」開設、2005年3月理事長辞任、同、評議員委嘱、及び西東京市社会福祉協議会評議員委嘱。
2007年10月、NPO法人プラス・ド・西東京理事長就任、2011年7月より理事。

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