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誰もが無料でうけられる授業。興味、関心のおもむくままに気軽に参加できるのがうれしい。 授業に参加することで、知らなかった人、知らなかったこと、知らなかった場所に出会える。そんな喜びがあるはずです。

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2011年7月 9日 (土)
もし東京でホームレスになったら

日  時:2011年7月9日(土) 14:00-17:00
教  室:首都大学東京 6号館 401号室
所 在 地:東京都八王子市南大沢1-1
定  員:30名(応募者多数の場合は、抽選。7月2日申込締切予定)
授 業 料:無料
先  生:山本薫子 (やまもと かほるこ) 准教授・博士(社会学)
授業コーディネーター:酒村なを

 「家族や友人などの"人"とのつながりを考える授業にしたい。」学長のお話から今回の授業は始まりました。

 今回の授業の先生は、山本薫子先生です。首都大学東京で社会学を教えていらっしゃる、本物の大学の先生です。教室も首都大学東京を使わせていただき、いつにも増して「大学の授業っぽさ」が出た授業になったのではないでしょうか。

 当日は、じっとしているだけで汗ばんでしまうような気温にも関わらず、たくさんの参加者の方が集まって下さいました。年齢層は20代から60代と幅広く、皆さんの授業に参加したきっかけも様々です。「震災を経験し、もし自分の家がなくなったらと思って」、「上京してきて、東京のホームレスの多さにびっくりして」などなど。きっかけはそれぞれですが、皆さんホームレスについて真剣に学びたいという思いを持って参加してくださったようでした。

   まずは、山本先生の講義から始まりました。日本のホームレスの特徴や現状、自立支援のための諸制度、ハウジング・プア(雇用と居住の一体化)、貧困ビジネスなどについて、様々なデータや実例に基づいてお話をしてくださいました。参加者の方々も、次々と紹介される厳しい現状を真剣なまなざしで聞いていらっしゃいました。

 特に参加者の方々の反応が大きかったのは、ホームレスの方の生活拠点についてのデータについて説明でした。生活拠点にしている人口が多い順に、都市公園、河川、道路、駅という順だそうです。皆さん、ホームレス=駅にいるという印象があったようで、駅で生活しているホームレスの方の割合が少ないことにビックリしていらっしゃいました。

   山本先生の講義の後には、2つのワークショップを行いました。グループディスカッション形式です。最初のワークショップは、自分自身がある日突然「今日から失業しました」、または「今お財布に入っている現金が最後の所持金です」、あるいは「今日から住居がなくなりました」という状況に置かれたら、何ができるかを考えるというものです。参加者の方からは、「友人宅にとまらせてもらう」、「実家に帰る」、「知人にお金をかりる」などの声が上がりました。一方で、「しかし、どの解決策も信頼出来る人間関係があってこその解決策。人間関係がなかったらと思うと怖い。」といった意見も出ました。

 2つ目のワークショップは、グループごとに、ある一人のホームレスの方の実例を読み、解決策を提案するというものです。どのグループも熱い議論をかわしていらっしゃいました。「どうにかして生活保護がもらえるように支援しよう。」「住み込みの仕事を探してあげよう。」などの解決策が各グループから発表されました。その後、参加者の皆さんには内緒で用意していた、ホームレスの方がその後どうなったのかという文章が配られました。1年経っても、状況は全く良くならず、むしろ悪くなっているという現状に、参加者の皆さんも言葉を失っていました。

 山本先生からのまとめのお話の中で、「ホームレスの方は責任感が強く、他人に甘えられなかったり、頼れない人が多いんです。」というのを聞きました。ホームレスの方を勘違いしている人が多いのではないでしょうか。私自身も今回の授業を受けるまでは、その一人でした。正直に申しますと、心のどこかに偏見や軽蔑の気持ちも、少なからずありました。しかし、ホームレスの方は、ほんのちょっとしたつまずきで路上生活を余儀なくされていて、また、誰もがいつ同じ立場になるかもしれないということを今回学びました。ホームレスの方への考え方を今回の授業は変えてくれました。ホームレスの方について考える、良いきっかけになりました。そして、人とのつながりを改めて大切にしようと思わされた授業になりました。



もし東京でホームレスになったら

あなたはどうしますか?

■テーマ:
現代の東京におけるホームレス問題についてワークショップ形式で学ぶ

■対象者:
ホームレス問題に関心のある方。

■授業について:
今回の授業は、いま大きな問題になっている「ホームレス」にスポットをあてます。
これまで「仕事はいくらでもある」「怠けているだけ」と言われがちだったホームレス状態にある人たち。しかしいま、その数が爆発的に増え、若者や 女性までも路上生活を余儀なくされています。また、一度ホームレス状態に陥るとやり直しが大変難しいと言われています。
仕事やお金や住居が無くなったとき、ここ東京でどう生き、その状態からどう脱出していけるのか。ホームレス状態に陥ってしまうまでの過程や、利用できる制度・仕組みなど対処法もワークショップ形式を取り入れ、具体的に想定しながら「ホームレス」という問題をみんなで考えてみます。

■授業の流れ(予定)
13:45 受付開始
14:00 はじめに 
14:05 全員自己紹介
14:25 山本先生の話
14:50 ワークショップ?1
15:10 ワークショップ?2
15:30 チームごとに発表、感想、全体意見交換
16:10 全員感想
16:40 先生感想
16:50 記念撮影
17:00 終了

■注意事項
1.申し込みの際、コメントに【ホームレス問題への関わりの有無とその内容】をお書きください。
2.筆記用具をご持参ください。

■重複応募は無効となりますのでご注意ください。
また、授業の参加エントリーには、学生登録が必須となります。

■定員・締切
30名(応募者多数の場合は、抽選。7月2日申込締切予定)

先生プロフィール:
山本薫子 (やまもとかほるこ) 首都大学東京 准教授

都市社会学専攻。都市の貧困地域、マイノリティ層の社会状況に関心を持ち、横浜などでフィールドワークを実施。著書に『横浜・寿町と外国人~グローバル化する大都市インナーエリア』(2008年)など。
http://www.ues.tmu.ac.jp/cus/www/ outline/teacher.html


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